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奥琵琶湖レイクシア周辺情報

GFC奥琵琶湖から行ける西国三十三所観音巡礼~滋賀県の三札所へ

西国三十三所巡礼は、和歌山県から大阪府、奈良県、滋賀県、京都府、兵庫県など関西一円の観音菩薩を祀る主な33の古寺を巡拝するもので、およそ1300年の歴史を持つ日本最古の巡礼といわれます。

今回はGFC奥琵琶湖から行ける滋賀県の3つの巡礼スポットをご紹介いたします。

 

美しい如意輪観世音菩薩~三井寺

三井寺(正式名称は長等山園城寺)は、686年に創建されました。滋賀県大津市にある天台寺門宗の総本山で、広い境内に数々の伽藍が点在し、国宝10件、国指定重要文化財42件を持つ古寺です。

三井寺には、西国三十三所観音霊場の第14番札所である観音堂があります。

名神高速の大津インターチェンジからおよそ3キロ、駐車場があります。電車では京阪の三井寺駅から徒歩8分です。

入場口は複数ありますが、観音様がいらっしゃる観音堂へ行くのは境内南東側の長等神社の脇からになります。

 

札所本尊の観音堂

144段の石段を上がると、観音堂や観月舞台などの札所伽藍が出てきます。三井寺の本尊は弥勒菩薩ですが、西国三十三所の札所本尊は如意輪観世音菩薩になります。

観音堂は、もとは女人禁制の山奥、山上の華の谷というところにありました。 そこは女人禁制のため女性は参拝ができませんでした。

600年近く前、室町時代のある夜、寺中の僧たちの夢の中に老僧が現れ、「これからは山を下り人々の参詣しやすい地に移り、衆生を利益したい」と告げたといいます。そこで観音堂を山下に移すことにし、現在の地に移されました。

江戸初期に火災に遭いましたが、3年で復興したのが現在の観音堂です。

手前の六角堂で手を清めて参拝します。

札所本尊の如意輪観世音菩薩は秘仏ですが33年に一度御開帳され、ふだんは本尊に似せた御前立ちを拝みます。

如意とは思いのままに、といった意味で、輪とは法輪の略で仏の教え、つまり意のままに説法し、衆生(生き物すべて)の苦を除き、世間・出世間の利益を与えることをご利益としています。

国宝の金堂~北政所による、築400年の建築物

観音堂のあるエリアから歩いて10分ほど、三井寺の本堂である金堂へ。

大きな檜皮葺の屋根が美しく、人間が小さく見える大きな国宝の建築物で、豊臣秀吉の時代に正室の北政所・寧々によって建てられました。

豊臣秀吉が尾張の農民出身だったように、寧々も秀吉の近所の農家の娘(武士も兼業していた説もあり)で、16歳の頃に結婚し、20年後には天下人の妻になっていました。

秀吉が戦でなるべく人を殺さず生かして家臣にしていったのは、やはり寧々の意向も強かったことでしょう。そういう女性でなければ、今に残るこのような建物を寄進できません。

金堂の向かって左側には、閼伽井屋(あかいや)という小さな建物があります。天智・天武・持統の三天皇が産湯に使ったという霊泉が湧き、御井=三井寺の由来になりました。

また、右側には、近江八景のひとつ「三井の晩鐘」があります。

金堂の近くには、怪力の武蔵坊弁慶がここまで引き上げてきたという「弁慶の引き摺り鐘」も安置されています。

 

円珍御廟と三重塔、スイーツ巡礼も

平安時代に一度衰退した三井寺でしたが、天台宗の高僧・智証大師円珍の再興によって東大寺や延暦寺と並ぶ「四箇大寺」と呼ばれるほどになりました。

円珍が眠る御廟と三重塔は三井寺のなかで最も清浄な聖域です。どれも国指定重要文化財です。

巡礼草創1300年を記念して設定された「スイーツ巡礼」。西国三十三所の各札所には、長年愛されている「お寺スイーツ」があります。

三井寺では、「朝宮ほうじ茶ロールケーキ」や「べんけい引き釣り鐘まんじゅう」がありますが、三井寺境内にて創業200年の「弁慶の力餅」がいただけます。

◆第十四番 長等山 三井寺
住所:〒520-0036 滋賀県大津市園城寺町246
電話番号:【代表】077-522-2238・【札所直通】077-524-2416
拝観時間:8:00〜17:00(拝観受付~16:30)
納経時間:8:00〜17:00
拝観料:大人600円(30名以上550円)・中高生300円(30名以上250円)・小学生200円(30名以上150円)
駐車場:有 (有料・大型バス30台、乗用車350台)
公式サイト:http://www.shiga-miidera.or.jp

 

階段が続く難所の31番札所~長命寺

「長生きの観音さん」として親しまれる第31番札所・長命寺は、琵琶湖を望む長命寺山の中腹に立ちます。

名神高速の竜王インターか蒲生スマートインターからおよそ15キロ、車で30分ほどです。駐車場有り。電車ではJR東海道本線の近江八幡駅からバスで長命寺行き、25分です。

参道の石段は808段あります。門前のそばとみやげ物店の前を通り、長く険しい石段の参道を上ります。車でも登れますが、体力に自信のある方はぜひ登ってみてください。およそ25分の登りになりますが、自分のペースで歩くのがいいでしょう。

上り詰めると長命寺の山門が見えます。簡素な造りの冠木門(かぶきもん)というタイプですが、神社の鳥居に似た形で、ここから先が聖域であることを示しています。

 

秘仏の三観音が札所本尊

寺伝によれば、第12代景行天皇の時代にこの地を訪れた武内宿禰(たけのうちのすくね)が、柳の巨木に「寿命長遠諸願成就」と刻んで祈願したところ、300歳以上の長寿を保ち、6代の天皇に仕えて活躍したといいます。

その後、諸国歴訪でこの山を訪れた聖徳太子が、宿禰祈願の柳で千手・ 十一面・聖観音の三尊一体の観音像を刻み、伽藍を建立しました。

境内の中心に立つのが単層入母屋造の本堂で、現在の本堂は大永4年(1524)の再建です。厨子内に秘仏の千手・十一 面・聖観音の3尊を一体の本尊として祀ります。建物、本尊ともに国指定重要文化財です。

千手観音は多くの手で人を救うため、十一面観音は病気や事故から守るため、聖観音はいくつかある観音菩薩の元の形です。千手十一面聖観世音菩薩のご利益は健康長寿、無病息災です。

厨子前のお前立ちは千手観音の姿をしています。

 

美しい三重塔

本堂の東側に建つ三重塔桃山時代の貴重な遺構です。三重塔や五重塔は近くで見ると見上げる形になりますが、見えるのはほとんど軒裏になります。

離れて塔の全体を眺めるのも美しいものですが、実は近くで見たときに美しく見えるように、このような塔は軒裏を工夫して美しく作られています。ここでは垂木や組物が左右対称に放射状に並べられ、細かく、屋根の隅に行くほど反りあがります。朱色に塗られていますが、構造上必要な部材ばかりで不要な装飾はありません。

本堂の西側には三仏堂と、長命寺のレジェンド・武内宿禰を祀る護法権現社の拝殿が、渡り廊下で結ばれて建ちます。その西の一段高い場所には鐘楼があり、ここからは今見てきた堂の優美な檜皮葺き屋根を見下ろせます。

三仏堂2021年に国指定重要文化財になりました。

また、さらに西の鎮守社の太郎坊社前からは、琵琶湖や比叡・比良の山並みを一望できます。

長命寺の前の札所は琵琶湖の竹生島の「宝厳寺」ですが、昔の参拝者は竹生島から船で長命寺へ向かったといいます。30番台と大詰めになって疲れているところへ琵琶湖に癒されるというコースはよく考えられた気づかいかもしれません。

◆第三十一番 姨綺耶山(いきやさん) 長命寺
住所:〒523-0808 滋賀県近江八幡市長命寺町157番地
電話番号:0748-33-0031
拝観時間:8:00〜17:00
納経時間:8:00〜16:40
拝観料:無料
駐車場:有 (山上P・乗用車30台)
参考サイト:https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/3663/

 

山上に建つ聖徳太子創建の古寺へ~32番 観音正寺

西国33所の32番札所・観音正寺は東近江にそびえる繖山 (きぬがささん、434m)の山頂近くにあり、1200段もの石段が続く表参道は、31番の長命寺と並び西国巡礼屈指の難所といわれてきました。

名神高速道路の八日市インターからおよそ10キロ20分、電車ではJR能登川駅から近江鉄道バスで13分、観音寺口で下車です。車なら山上まで行って駐車場がありますが、観音寺口のバス停からはおよそ40分の登山となります。

 

聖徳太子が開いた山上への登山

寺伝によれば、推古13年(605)に聖徳太子が創建しました。この年、太子は近江国で出会った人魚から、「神仏を尊ばず、魚の殺生を重ねてきたので、このような姿となりました。繖山に一宇を建立して、成仏させて欲しい」と懇願されたといいます。

そこで自ら千手観音像を刻んで、寺を興したのがはじまりといいます。寺にはその時の「人魚のミイラ」が残されていました。

登り始めて間もなく日吉神社の鳥居横を過ぎると、門前まで延々と続く1200段の石段が続きます。お寺の鐘の音が聞こえてくる参道の終盤に差し掛かると、手すりが設置されており、少し楽に石段を上ることができます。

山頂の境内からは、万葉集に詠まれている蒲生野ののどかな風景を一望できます。

境内の入口へ近づくと、左手に鐘楼が出てきます。

山門の代わりに力強い仁王像が迎えてくれます。観音様がいらっしゃる本堂まではまっすぐです。

 

松本明慶作の本尊・千手千眼観世音菩薩像

仁王像や開基の聖徳太子像、胎内に写経を納めた釈迦如来像「濡佛」に合掌しつつ、境内最奥の本堂へ。

1993年、火災に遭い、本尊もろとも本堂を焼失、寺に伝わってきた「人魚のミイラ」も焼失しましたが2004年に本堂を再建。インド政府の特別許可で輸入された香木の白壇23トンを使った本尊・千手千眼観世音菩薩像は、現代を代表する仏師・松本明慶の手で彫られました。

観音さまの柔和な表情を見ると山登りの疲れも癒やされます。千手千眼観世音菩薩は多くの手と多くの目でより多くの人を救うとされます。

本堂の横には、火災の後に出現した石仏が並んでいます。

徹山の斜面を下って行けば、室町時代初期に築かれ、近江守護で戦国大名の佐々木六角氏を城主とした観音寺城跡があります。織田信長の上洛に伴って六角氏は無血開城しました。

◆第三十二番 繖山(きぬがささん) 観音正寺
住所:〒521-1331 滋賀県近江八幡市安土町石寺2番地
電話番号:0748-46-2549
拝観時間:8:00〜17:00(表林道 8:30~16:00・裏林道8:00~16:30、冬期通行止め有り)
納経時間:8:00〜17:00
拝観料:大人 500円 中学生・高校生 300円
駐車場:有 (表・裏林道を合わせて25台程度)
参考サイト:http://www.kannonshoji.or.jp

 

西国三十三所観音巡礼~1300年の祈り

観音様は仏のランクでいうと菩薩にあたり、如来のように悟りは開いていますがあえて修行を続けて人々を救うために現世に近いところにいます。昔から多くの観音像が作られ、信仰を集めました。

そもそも人はなぜ仏さまに祈り、遠い道を歩いて巡礼をするのでしょうか。苦しみから救われるためなのか、平和を求めるためなのか、家族のこと、国のこと。それぞれの理由があるのでしょうし、あるいは理由などないのかもしれません。1300年のあいだには、戦乱の世もあり、平和な世もありましたが、いつの時代も人は観音様に祈り続けてきました

この1300年の間にいったいどれだけの人が三十三所を回り、祈ったかと想像すると、気が遠くなるばかりです。

滋賀だけでなく、関西にはたくさんの観音様がいらっしゃいます。ぜひ出かけてみてください。

この記事を書いた人
かのまお
放浪ライター。年の半分は福井や滋賀など関西~北陸を中心に放浪しています。尊敬する人は山下清。小説も出版してます。

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