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奥琵琶湖レイクシア周辺情報

雅な伝統の世界に誘う、滋賀県・米原&彦根の名勝めぐり【前編】

堂々とそびえ立つ雄大な山々、広く穏やかな海や湖、緑ゆかく神秘的な森…。古来より豊かな自然に恵まれてきた日本では、その偉大な風景に畏怖し、心惹かれ、いつしかその美しさを“庭園”として表現するようになりました。

中でも芸術性や鑑賞価値に秀でた庭園は“名勝”と呼ばれ、日本における文化財として、時代を超えて多くの人々の心を動かしています。

今回は数々の名勝・庭園を愉しめる滋賀県の米原市と彦根市をクローズアップ。若葉彩る春のお庭めぐりをご紹介します。

 

米原・青岸寺:天候により表情を変える、緑深き苔の庭園

JR大阪駅から、新快速に揺られること90分。車窓からのどかな田園風景を眺めていると、滋賀県内で唯一、東海道新幹線の駅が設置されている米原市に到着しました。

朝のすがすがしい空気を味わいながら東に歩みを進めていくと、ひとつ目の目的地を発見。

ウロ(樹洞)の中にちょこんと座ったお地蔵さまが出迎えてくれるこちらは、「青岸寺」

南北朝時代、当時の近江守護職であった佐々木京極道誉(ささき きょうごく どうよ)によって創建された「米泉寺」が1504年の兵火で焼失。火災の難を逃れ、小堂に長く祀られていた本尊聖観音像に出会い、心を痛めた要津守三(ようしん しゅさん)和尚がお寺の再興を期して入山し、敦賀の在人・伊藤五郎助と共に建立したお寺が「青岸寺」です。

風格漂う門をくぐり、やわらかなイワヒバが生えるお庭を抜けると、本堂が見えてきます。

扉を開けると、愛らしいサイズの鐘が目の前に。この鐘がチャイム代わりになっており、鳴らすと住職の永島匡宏(ながしまきょこう)さんが来てくださいます。

拝観料をお渡しする受付では、御朱印も販売。滋賀県を拠点に活動されている日本画家・西川礼華さんとのコラボ御朱印も並んでいました。

白銀の世界に佇む雪吊の松が幻想的な、こちらの御朱印。なんと一枚一枚手描きで作られているそうです。こちらのデザインは冬季限定ですが、季節やイベントに合わせて新しいデザインも発表されているそうなので、ぜひチェックしてみてくださいね。

さて、それでは緋毛氈が敷かれた廊下を渡り、いよいよ本命のお庭へ。

昭和9年、国の名勝庭園に指定された「青岸寺」のお庭は枯山水。水が無い場所で石や砂、地形を生かし水の流れを表現する、日本の代表的な庭園様式のひとつです。

「青岸寺」の庭園は石組が非常に多く、“水”を表すのに“苔”が用いられているのが特徴。その幽玄な景色は、観音菩薩が降り立つとされる伝説上の山、補陀落山(ふだらくさん)をイメージしています。苔を保護するため一般客がお庭に出ることは叶いませんが、石と木々、青々と光る苔が見事に調和した風景は、いつまでも眺めていたくなる美しさです。

こちらの庭園が築庭されたのは、守三(しゅさん)和尚が入山された時。後に彦根藩主・井伊家の欅御殿(けやきごてん)に楽々園が築かれる際に石組ごと供出し、一時は消滅してしまいました。しかしながら延宝6年、当時「青岸寺」に勤めていた興欣(おきよし)和尚が楽々園の作者である香取氏に命じ、現在の庭園を築かせたといわれています。

少し場所を変えて、書院「六湛庵(ろくたんあん)」に向かいましょう。

明治37年に森田悟由(もりた ごゆう)禅師によって建立されたというこちらの建物には、勇壮たる虎の襖絵や貴重な書がずらり。

また、道中には庭造りにおける“石”の在り方を示す『石徳五訓』が掲げられています。

書院の奥まで辿り着くと、目に飛び込んでくるのは、緑いっぱいの優美な世界。

書院を支える柱が額縁の役割を果たし、巨大な風景画を観ているような、穏やかな気持ちがこみ上げてきます。

実は、「青岸寺」の名勝には年に数回のみ目にすることができる、秘密の顔があります。それがこちら。


引用:青岸寺 公式Instagram

なんと苔がむしている場所に水が溜まり、大きな池が現れました。

この水の正体は、梅雨時などに降る多量の雨。江戸時代に作庭された庭園の中では、非常に珍しい造りだそうです。こんなお庭があると、雨の日も愉しくなりますね。

また、お庭をじっと眺めていると、あちこちで見かけるのがお地蔵様

門から本堂へ続くお庭やつくばいの上など、至る所でお会いできます。見つけるたび、ほっこり幸せな気分に浸れるので、ぜひ探してみてくださいね。

さらに、「青岸寺」で立ち寄っていただきたいのが、本堂内にあるお休み処「喫茶去(きっさこ)」

庭園を一望できる絶景カフェの詳細は、こちらの記事でご紹介しているので、ぜひご一読ください。

◆青岸寺
住所:〒521-0012 滋賀県米原市米原669
電話番号:0749-52-0463
開門時間:9:00~17:00
休園日 :火曜日・第4月曜日
拝観料 :一般 300円/小学生~高校生 100円
公式サイト:https://www.seiganji.org/

今回は米原市が誇る名勝の地「青岸寺」をご紹介しました。GFC奥琵琶湖から車で約45分で行くことができるので、ぜひ実際に訪れて、四季折々の風景をお愉しみください。

後編の記事では名城の町・彦根で鑑賞できる、名勝・庭園をご紹介。江戸時代、日本の造園技術の基礎を築いたお寺と、歴代彦根藩主の心を癒した名勝庭園をご案内します。

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