【歴史スポット】旅行で訪れたい三重・亀山の関宿を紹介
三重県亀山市にある関宿(せきじゅく)、江戸時代に栄えた東海道五十三次の47番目の宿場町(江戸から数えて47番目)で、「東海道関宿」と呼ばれています。現在も江戸時代の町並みが残されており、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
関宿の歴史は古く、古代には伊勢神宮への宿場としていた伊勢鈴鹿関が置かれていました。江戸時代にも、参勤交代や伊勢参りの人々で大変賑わいました。関宿の町並みは、江戸時代の宿場町そのままの姿を残しており、土蔵造りの商家や旅籠などが軒を連ねています。
今回はGFC湯の山スパシアから行ける観光名所・関宿の町並みや歴史資料館といったおすすめスポット、グルメなどをご紹介いたします。
目次
関宿へ~東西の追分から
関宿があるのは三重県中北部に位置する亀山市。GFC湯の山スパシアからは車で30〜40分、新名神高速道路や東名阪自動車道を使っても一般道でもさほど変わりません。街道の近辺に観光用駐車場があります。
電車ではJR関西線の関駅から歩いてすぐです。この路線は非電化で、1両のディーゼル車が走る趣きのある雰囲気です。
◆関駅
関宿は東西1.8㎞にわたって宿場町が続いています。東西の入口は、それぞれ東海道と伊勢街道・大和街道の分岐点になっています。
◆東の追分
町屋が約200軒以上連なり、寺院や神社、古民家を改装した食べ物屋さんやカフェ、観光向けの資料館のほか、一般の会社や銀行も並んでいます。しかし半分以上は地元の民家とのことです。
江戸時代からの町並み~国の重要伝統的建造物群保存地区
関宿の中を5mほどの街道がゆっくりカーブしており、両サイドに日本も伝統的木造建築が密集しています。
『重要伝統的建造物群保存地区』とは、日本の伝統的な集落や町並みを残そうとする制度です。
城下町、宿場町、門前町、寺内町、港町、農村、漁村などの地区で、伝統的な建造物群と、それらを一体的に形成している環境を市町村が条例などで定めた地区を指します。さらに、文化庁が特に価値が高いと判断したものは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されます。
埼玉県川越市や岐阜県高山市、石川県金沢市などの古い町並みが国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
築年数で言うと100年から300年近く前の建物が多く、ほとんどが江戸時代から明治時代に建てられたもので、現在の建物とは建て方がかなり違います。
コンクリートの基礎がなく、土台の石の上に柱を立てて、固定しません。柱と梁との接合も金具ではなくホゾという木材をくり抜いて差し込んであります。がっちりと固定をせず、地震の振動が来た時にあえて揺れて土壁などが崩れることで力を吸収します。
中には、戦後に改修された昭和レトロな雰囲気を残す建物もあります。江戸、明治、大正、昭和、平成、令和へと受け継がれてきた歴史が保存されています。
本陣や札場が置かれていた場所は現在郵便局として利用されています。
本陣とは参勤交代の際に大名・公家・幕府の役人などが宿泊したり休憩する格式のある宿屋です。脇本陣は、大名などの宿泊が重なった場合に本陣を補佐した宿屋で、本陣に次ぐ格式をもっていました。
また、地蔵院は天平13年(741年)、行基菩薩によって開創されたと伝えられています。本尊は地蔵菩薩で、古くから「関の地蔵」と呼ばれて信仰されています。
境内には、本堂、鐘楼、愛染堂の3つの重要文化財があり、すべて江戸時代から残されています。本尊である地蔵菩薩像は、奈良東大寺の高僧・行基作とされ、伊勢の国にも流行した天然痘から人々を救うため安置したと伝えられています。
1700年建立の本堂は寄棟ですが“シコロ葺き”という珍しいタイプです。屋根面が2段になっているもので、大阪・四天王寺金堂や京都御所の紫宸殿など事例は限られています。
愛染堂は1630年建立、400年近く前の江戸時代初期で、2代将軍徳川秀忠の時代です。まだ細川忠興や伊達政宗は生きていました。
◆関地蔵院
住所:〒519-1111 三重県亀山市関町新所1173-2
電話番号:0595-96-0018
拝観時間:9:00~16:00
休業日:年中無休
拝観料:500円(拝観のみ)、800円(お茶付き)
公式サイト:http://www.seki-jizoin.or.jp/
旅籠や民家の歴史を学ぶ~東海道関宿まち並み資料館
関宿には、亀山市観光協会が運営する歴史館や資料館がいくつかあります。
「東海道関宿まち並み資料館」は、江戸時代末期に建てられた関宿を代表する町家建築で、関宿の歴史や文化に関する資料が展示されています。江戸時代の町家の暮らしぶりを再現した展示や、関宿の町並みの移り変わりを写真で紹介した展示などがあります。
江戸時代の町家の暮らしぶりを再現した展示を見学できます。江戸時代の庶民の暮らし、宿場町の雰囲気を味わいたい方や、歴史に興味がある方におすすめです。
二階へ上がる箱階段
「関宿旅籠玉屋歴史資料館」は、江戸時代に建てられた旅籠「玉屋」を修復し、展示しています。玉屋は、関宿を代表する旅籠の一つです。
“旅籠”とは武士や一般庶民を宿泊させた食事付きの宿屋で、現在でいう旅館です。宿場のなかでも多数を占めていました。
宿屋の奥には、築260年という蔵があり、内部も見学できます。歌川広重の現物の浮世絵も展示されています。
関宿旅籠玉屋歴史資料館の土蔵
旅籠を描いた浮世絵には、店先で客を呼び込む客引き、桶で客の足を洗ったりお膳を運ぶ女中、化粧をする飯盛女、ご用を聞くあんま、風呂に入り座敷でくつろぐ客など、旅籠での人々の姿が描かれています。ブームになっていた伊勢神宮へのお参りなど各地へ旅をしていた江戸時代の人々の様子がよく分かります。
◆東海道関宿まち並み資料館・関宿旅籠玉屋歴史資料館
住所:〒519-1112 三重県亀山市関町中町444-1
電話番号:(亀山市観光協会)0595-96-1218
開館時間:9:00~16:30
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
入館料:大人300円、小中学生200円(関宿旅籠玉屋歴史資料館・東海道関宿まち並み資料館と共通)
公式サイト:https://www.city.kameyama.mie.jp/docs/2014112311884/shiryokan1.html
関宿のグルメ~会津屋など
関宿にある「会津屋」は、江戸時代の旅籠を改装した食事処です。東海道随一の景色と言われる関宿の街並みの中心にあり、江戸時代には関宿の三大旅籠だった老舗店です。
会津屋の自慢は、大正時代の窯に薪をくべて蒸す山菜おこわと出汁が自慢の蕎麦です。三重の旬の食材を使ったお料理もいただけます。
山菜おこわは、風味豊かな心温まる日本の伝統的な炊き込みご飯です。三重県産のもち米とうるち米、三重鶏、滋賀県唐戸川産の原木の干し椎茸を使い、窯炊きならではの強い火力でモチモチの食感に蒸しあげています。
店内は、江戸時代の旅籠の面影を残した落ち着いた雰囲気です。テーブル席と座敷席があり、ゆっくりと食事を愉しむことができます。
◆お食事処「會津屋」
住所:〒519-3201 三重県亀山市関町547
電話番号:0595-96-0995
価格帯:山菜おこわ定食:1,350円~ 街道そば:900円 その他:500円~
営業時間:【ランチ】11:00~15:00 【ディナー】17:00~20:00
定休日:水曜日
駐車場 あり(無料)
公式サイト:http://www.aizuya72.com/menu.html
関宿には、会津屋さんのように町家古民家をリニューアルしたレストランやカフェが多いのですが、あまり派手な看板などは出ていません。町家を改装したカフェ・レストラン「エン」も人気ですが、パッと見はお店かどうかほとんど見分けがつきません。
古民家カフェ・レストラン「エン」は石窯を使ってピザや地野菜を焼いているとのことです。
引用:古民家カフェ・レストラン エン 公式Instagram
カフェなどでは週末のみ営業日とし、平日は全休というところもあります。個人営業の店舗が多く、営業日でも臨時休業となるケースがあります。直前にホームページなどで確認することをお勧めします。
◆古民家カフェ・レストラン エン
住所:〒519-1112 三重県亀山市関町中町480
電話番号:0595-98-5818
営業時間:9:30~17:00
定休日:水曜日
公式Instagram:https://www.instagram.com/sekijyuku_en/
関宿を未来へ保存していくために
53カ所ある東海道の宿場町のなかでも関宿は町並みや風景が色濃く残されています。明治以降150年にわたる地元の人たちの想いと努力のおかげで令和の私たちが恩恵を受けていると言えます。
関宿は観光の見どころが集中している文化財ですが、同時に人の生活の場が何百年と続いてきた場所でもあります。長い歴史と人々の営みが感じられる関宿へ、この夏はぜひお出かけしてみてください。