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湯の山スパシア周辺情報

三重県・湯の山で伝統工芸「組子建具」を体験。熟練の職人とともに本物の魅力に触れる贅沢な時間を味わう

 

「湯の山スパシア」のある三重県・菰野町は鈴鹿山脈の御在所岳の麓に位置し、四季折々の自然の魅力に溢れたエリアであるとともに、陶芸をはじめとした伝統工芸が現代まで脈々と受け継がれている町でもあります。

室町時代から続くという伝統的な技法「組子」もその一つ。細かな木片を釘を使わずに1片ずつ組み付けて、窓、障子などの建具や欄間の格子などに繊細な意匠を生み出していきます。一つの意匠に10万個以上の木片が使われることも。すべて職人の手作業で組み上げられています。

日本の象徴である富士山を表現した建具が第50回全国建具フェアで内閣総理大臣賞を受賞「現代の名工」に選ばれ、ミラノ万博の日本館に出展、伊勢志摩サミットでは参加国への贈呈品に文箱が採用されるなど、三重を代表する組子細工職人として活躍しているのが、菰野町の「指勘(さしかん)建具工芸」
毎月第3土曜日には伝統工芸・組子の魅力に触れ、作品づくりが楽しめる体験イベントを実施しています。

 

組子細工は0.1ミリのズレも許されない精巧な技術が詰まった世界

2時間の組子体験は指勘建具工芸の工場からスタート。三代目組子職人の黒田裕次さんが工場の中を案内しながら、組子建具の制作工程を説明してくれます。

工場の入口、4メートルはあろうかという大きな板が並んでいます。年輪が細かく、質の良い木を選び抜くことから職人の仕事は始まるのだと言います。
「山師さんが何代もかけて育ててくれた材木。私たち職人も同じように何代にもわたってお客さまに使い続けてもらえるように心がけています」と黒田さんは木材への思いを語ってくれました。

組子建具の材料となる木片パーツの加工は高い精度が求められる繊細な作業。細かいものだと長さ1センチ、薄さ1.5ミリのものも。さまざまな形状の木片をそれぞれ同じサイズに揃えていかなければなりません。0.1ミリずれるだけで綺麗にはまらなくなってしまうと言います。さらに、切り込みの角度も正確に揃っていないとピッタリと組み合わせることができません。

「以前に出張イベントで体験された方から“細かいパーツはどこで売っているんですか?”と聞かれたことがあります。組子の魅力を知っていただくためには、ただ制作体験をしてもらうのではなく、イチからものづくりの工程を見ていただくことが大切だと思いました」(黒田さん)

 

組子体験メニューは5種類の柄の鍋敷きとコースター

組子職人の仕事の奥深さを垣間見せてもらった後、いよいよ組子体験がスタート。コースターと鍋敷きがあり、桜亀甲や麻の葉、星型亀甲など5種類の柄から選びます。難易度はそれぞれ違うので、手先の器用さに自信のある人は弁天亀甲や桜亀甲などの柄に挑戦してみるのもいいかもしれません。

まずは外枠の組み付けから。初めての体験でも黒田さんが丁寧にコツを教えてくれるので、ご夫婦の手さばきもみるみるうちにスムーズな動きに。

小学3,4年生くらいの子どもなら十分に一人で組み付けていけるそうです。

 

細かなパーツが組み合わさったときの木の感触に感激!

もう1組の女性お二人も真剣な面持ちで作業に熱中。細かい木片が1個1個はめ込まれ、少しずつ完成に近づいていきます。

「細かなパーツがピタッと組み合わさったときの“木の感触”に感動される方が多いです」と黒田さん。その言葉通り、女性たちからはパーツをはめ込むたびに興奮の声が上がっていました。

完成した組子細工とともに写真を撮らせてもらえるようにお願いすると、快くポーズを取ってくれました。

「出来上がった作品を自宅に持ち帰られて眺めたときに、どんな思いを感じながら作っていたかを思い出してもらえたら嬉しいですね」と黒田さんも嬉しそうにその様子を眺めていました。

作品づくりの後は工場内にある制作中の建具を見学
鍋敷きやコースターの組子細工を体験して、いっとき“職人気分”を味わった参加者の皆さんも、黒田さんの技術が詰まった組子建具を間近で見て、あらためて組子の精巧さに驚きを隠せない様子でした。

でも、これはまだ序の口。この後の「まちかど博物館」での見学で、組子細工の真髄に触れることになるのです。

 

「まちかど博物館」で組子美術建具の真髄を体感

工場からすぐ近くにある黒田さんの自宅は「まちかど博物館」として、指勘建具工芸の美術建具が展示されています。案内してもらった部屋は、「矢車後光組」という技法を用いて仏様の背後の光(後光)を表現した「光輪」をはじめ、指勘の当主・黒田之男さんが考案したオリジナル意匠による美術建具に囲まれた空間。思わず息を呑む美しさに圧倒されます。

「白鷺城」と呼ばれる美しい名城・姫路城を組子で描いた作品には10万個以上の木片が緻密に組み合わされ、1年以上の制作期間がかけられたとのこと。組子建具の技術の粋をこんなに間近で、しかも職人自らの口から説明してもらいながら眺めることができるなんて、なんとも贅沢な時間です。

約2時間の組子体験を終えた黒田さん。
「実際に自分で組んでもらってから作品を見てもらえると、体験された方の反応が全然違いますね」と言います。自分自身で組子の感覚を味わったからこそ、組子建具作品の素晴らしさを実感することができるのです。

黒田さんは毎回、参加者の方の反応を参考にしながら、今後も体験内容の充実をはかっているとのこと。湯の山スパシアから指勘建具工芸の工場までは車で15分程度。月に一度の開催ですが、自ら組子づくりの一端に触れて、本物の美術作品ならではの感動を得られる機会。一度体験してみる価値があります。

◇指勘建具工芸 組子建具体験
住所: 三重県三重郡菰野町小島4806-3
TEL : 059-396-1786
開催日時:毎月第三土曜日 ①9:30~ ②13:30~ 各2時間程度
体験料:
コースター  2,000円
鍋敷き    3,000円
予約受付   9:00~17:00(日曜日休)
HP 指勘建具工芸 https://www.sashikan.com/

この記事を書いた人
編集室「文音」
三重県在住フリーランス ライター&編集者。前職は情報誌編集長。観光スポットや企業、人物インタビューなどの取材を手がけています。

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