【紫式部ゆかりの地】滋賀県屈指のパワースポット・石山寺でご利益めぐり
滋賀県大津の南端、清流豊かな瀬田川の西岸に構える真言宗の大本山・石山寺。
奈良時代から「寺は石山、仏は如意輪」と言われるほど広く信仰されており、福徳・厄除け・縁結びなど、さまざまなご利益を求め、例年多くの人々が参拝に訪れます。
今回はそんな“観音の聖地”石山寺にあるパワースポットをご紹介。気になるスポットをめぐりながら、霊験あらたかな石山寺の魅力に迫ります。
目次
くぐり岩:自然の神秘が生み出した“胎内くぐり”
手水舎で身を清めた後、すぐ目に飛び込んでくるのが、こちらのくぐり岩。
現在は苔がむし、ほら穴のようになっていますが、本来は白亜の輝きを放つ大理石でできています。長い年月をかけて浸食を繰り返し、複雑な迷路のような形になったのが、なんとも神秘的。
そしてなんと、この穴は実際にくぐることができます!
母親の胎内を模した岩穴をくぐることで、魂を浄化し、新たな自分へと生まれ変わる“胎内くぐり”。その体験ができるとともに、くぐった人の願いもかなえてくれるのだとか。
私もくぐってみたところ、内部は涼しく湿っていて、まるで小さな鍾乳洞のよう。周りが池に囲まれているためか、現世と切り離されているような、不思議な感覚を味わいました。
足場が少し不安定でくぐることを躊躇されるかもしれませんが、機会があれば、ぜひトライしてみてください。
※水辺で滑りやすいので、スニーカーや歩きやすい靴でくぐることをおすすめします!
多宝塔と硅灰石:水墨画を思わせる幽玄な世界
くぐり岩の脇にある石段を上ること67段。頂上で参拝客を出迎えるのは、ダイナミックにそびえたつ、硅灰石の石崖です。
「石山寺」の名前の由来にもなっているこちらの硅灰石は、石灰岩と花崗岩が熱作用で溶け合い、ひとつの層となって地表に現れたもの。この大きさは世界的にも非常に珍しく、国の天然記念物に認定されています。
その美しさは古の人々の心にも響いたようで、江戸時代を代表する俳諧師・松尾芭蕉も、その一人。硅灰石の上にあられが降り注ぐ光景に感銘を受け、「石山の石にたばしる霰(あられ)かな」と、一句したためています。
石山寺全体を支えるように伸びる石崖は、間近で見るとかなりの迫力!うねる荒波のようにも、巨大な滝のようにも見え、角度を変えてみると実に様々な表情を見せてくれます。夜はライトアップされ、幻想的な風景を目にすることができるのだとか。
石崖の上方に見えるのは、源頼朝の寄進で建立されたという日本最古の多宝塔。上層は円形、下層は方形平面の二重の塔で成り立ち、独特のフォルムや二層のバランスがなんとも美しい建物です。本尊は金剛界の大日如来像で、その作者は鎌倉時代屈指の仏師・快慶であることが判明しています。鎌倉時代当初の形を保つ遺構として大変貴重なものなので、一見の価値ありです。
大自然と歴史の芸術にパワーをもらったら、次のスポットに向かいましょう。
宝篋印塔(ほうきょういんとう):先人の計らいが伝わる“お砂踏み”
宝篋印塔とは、供養塔や墓碑塔などに使われる仏塔の一種で、経典を納めるための“経塔”が元になっています。100年以上前の先祖を供養するためのお墓として子孫を守り、一族を繁栄に導くともいわれているそう。
石山寺には源頼朝の供養塔など気になるものがたくさんありますが、特に注目してほしいのが“毘沙門堂”の側にある宝篋印塔。
こちらの地面には四方に四国八十八カ所霊場の砂が埋めてあり、ここを廻って“お砂踏み”をすると、八十八カ所を巡った時と同様の功徳が得られるというパワースポットです。
「徳を積みたい!」
と、いうことで、私もチャレンジ。
「どこから廻ればいいの?」という方も多いかと思いますが、廻り始めと終わりの石には番号が記されているので、ご安心を。
1200年以上の歴史を持つ四国八十八カ所巡りですが、昔は現代と異なり交通の便も悪く、さまざまな事情で遍路の旅ができない方も数多くいらっしゃいました。“お砂踏み”はその無念を晴らすべく、約400年前から始められたといわれています。「少しでも多くの方に遍路の旅の願いを叶えてもらいたい」と考えた、当時の人々の粋な心意気を感じますね。
本堂:真言宗・大本山の中枢へ
西国三十三カ所すべての観音様が祀られた「観音堂」や蓮如上人が祀られている「蓮如堂」をお参り後、いよいよ本堂へ。巨大な赤提灯が見下ろすその場所に一歩足を踏み入れると、空気が凛と研ぎ澄まされ、荘厳な雰囲気に包まれていました。
それもそのはず、こちらの本堂は1096年に再建され、現在滋賀県で最古の木造建築物といわれるもの。私が訪れたときはちょうど御祈祷がおこなわれ、静かな堂内に読経の声が響き、心穏やかなひとときを過ごすことができました。
そしてなんと今回、普段は入ることができない本堂の裏側を見学できる、内部拝観を体験!
本堂内の展示室には、迫力満点の毘沙門天像や祭祀に使用されたと思われる雅楽楽器、西国三十三カ所巡礼ゆかりの品など、秘蔵のお宝がずらりと並んでいます。
中でも気になったものが、重要文化財・金剛蔵王立像心木。
天平5年から翌年にかけて造立されたお像ですが、長年の研究により、なんと心木(お像の軸となる棒)の部分から、舎利と経典が入った五輪塔形を発見!
高度なからくり技術への驚きもさることながら、古来より人々がどれほど仏の御心を大切にしていたか、お像に込められた思いが伝わる、印象的な出会いでした。
なお、石山寺のご本尊である“如意輪観音”は、日本唯一の勅封の秘仏。33年に一度しか御開帳されず、次回ご尊顔を拝見できるのは2049年といわれています。
また、本堂に参拝された際、ぜひ手に入れて頂きたいのが御朱印。
筆の動きを大胆に生かした、エネルギッシュな筆跡に惚れ惚れします!
今なら雅な紫式部の姿を描いた西国三十三カ所 草創1300年記念印を押してもらえるので、この機会をお見逃しなく。
八大龍王社:天候の神が眠る伝説の祠
石山寺の奥地、“龍穴”と呼ばれる池の中島にひっそりと佇む、こちらの八大龍王社。
本堂や多宝塔から離れた位置にあるためか、空気が整い、落ち着いた雰囲気が漂っています。
この“龍穴”は、「炎天下でも請雨法を修すれば必ず雨が降る」と言われる伝説の池。『石山寺縁起絵巻』には、石山寺の僧侶・歴海和尚が読経している間、龍王たちが池の中から現れ、和尚の傍らに待って護衛する姿が描かれています。
絵巻に描かれた龍たちは、凛々しい顔つきものからチャーミングなものまで、実に個性豊か。池を守る龍たちに、なんだか親近感がわいてしまいます。
池の向かい側には、和尚が読経の際、いつも座っていたという丸い石歴海和尚尻懸石も。天平時代から石山寺を見守ってきた神木・千年杉も、龍王の祠を見守っています。
大黒天:開運を司る神のもとで運試し
最後にご紹介するのは、東大門のすぐ近くに社を構える大黒天。ご本尊は3人の僧の夢のお告げにて、湖水より出現したと伝えられています。
“大黒天”のルーツは、インド神話の神であるマハーカーラ。右手には小槌、左手には大きな袋を持った姿が特徴的で、日本では五穀豊穣や開運、財運向上などの神として崇められています。
こちらではおみくじをひくことができるのですが、なんとお値段30円!
せっかくなので私もひいてみた所…出ました、大吉!
※右が「石山寺」でひいたおみくじ、左は以前「清荒神」でひいたおみくじですが、なんとどちらも大吉でした。
あまり満足できない結果が出た時も、近くの“おみくじ結びの木”にくくることで神様とご縁を結ぶことができるので、気軽に運試しをしてみてくださいね。
GFC奥琵琶湖を拠点に、“石山詣”へ
観音信仰が盛んになった平安時代。宮廷の女人たちの間では観音堂に参籠し、読経しながら一夜を過ごす石山詣が流行しました。
江戸時代には『源氏物語』が描かれた浮世絵の影響でさらに多くの人にもブームが広がり、その流れは脈々と現代にまで受け継がれています。
GFC奥琵琶湖レイクシアにご宿泊の際には、ぜひ大津まで足を延ばして、“石山詣”でパワースポットめぐりを愉しんでくださいね。
◆石山寺
住所:〒520-0861 滋賀県大津市石山寺1丁目1-1
電話番号:077-537-0013
営業時間:8:00~16:30
公式サイト:https://www.ishiyamadera.or.jp/