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淡路島グランデシア周辺情報

GFC淡路島から行く、兵庫県中部の文化財・パワースポットめぐり

淡路島から本州へは、車で明石大橋を通ればすぐです。兵庫県の中部、昔の播磨東部にあたるエリアは山陽道の重要な拠点でした。

今回は、小野市、明石市や加古川市まで、明石大橋を渡って西側周辺のエリアで国宝をはじめ文化財、パワースポットを中心にご紹介していきます。

 

国宝の本堂と仏像~浄土寺

小野市の浄土寺は、GFC淡路島グランデシアから車で高速を使っておよそ1時間あまりです。

公共交通機関なら、JR「加古川」駅から加古川線で「市場」駅へ行き、そこから小野市の「らんらんバス」で「浄土寺前」まで行けます。最寄りとなるターミナル駅のJR「粟生」駅まで行った場合、タクシーで5㎞くらいです。

神戸方面からは神戸電鉄「新開地」駅から粟生線で「電鉄小野」駅まで行けば、同じらんらんバスが出ています。

浄土寺には国宝に指定されている本堂(浄土堂)阿弥陀如来及び両脇侍立像がありますが、他にも国指定重要文化財が複数あるなど「文化財の宝庫」といえるスポットです。

平安時代末から鎌倉時代の僧で、東大寺大仏・大仏殿の復興に尽力した重源によって、鎌倉時代の建久5年(1194年)に創建されました。この浄土堂も創建時に建てられたもので、800年以上ここに建っています。

建物の内部には天井が貼られていません。つまり建物内から見ても屋根の三角形がそのまま見えるという形で、垂木や貫(ぬき)、梁(はり)などの構造材をそのまま見せた工法になっています。外部の化粧垂木は隅の部分のみを扇状に配した隅扇垂木(すみおおぎたるき)になっています。

純大仏様建築は奈良・東大寺の南大門とこれ以外に現存していません。残念ながら内部は撮影禁止ですが、浄土堂は外から見ているよりかなり広く感じられます。

浄土堂内部の中央に安置される国宝の阿弥陀三尊像は、鎌倉時代の仏師・快慶の代表作です。巨大な三尊像で、阿弥陀如来は像高5m30cm〈須弥壇(しゅみだん)を含めると7m50cm〉、両脇侍は右・観音菩薩と左・勢至菩薩ともに像高3m70cmです。

阿弥陀如来のお顔は誠に荘重で、スタイルもがっしりと男性っぽい力強さの中に全体が丸みを帯びた、性別を超越した容姿で見るものを圧倒しつつ安心感で包み込んできます。

快慶がこの仏像を彫った時代、戦乱と疫病の世の中で人々は常に死と隣り合わせの生活でした。せめて命を終えた後は極楽浄土へ行きたいという人々の切実な願いを具体的に表すことで、生きる希望と勇気をもたらしたのでしょうか。そんなことを考えさせられる仏さまです。

浄土堂内には照明がなく、全体としては薄暗い中にこの3体のお像だけが浮き上がっているようです。堂内に差し込む日光が反射しているため、できるだけ晴れた日の拝観がおススメですが、なかでも時間帯は日が傾く夕方が最高です。西側の格子戸をオープンすることで仏さまの背後から西日が差し、極楽から迎えに来た「聖衆来迎図」の立体バージョン、限りなく現物に近いものを目撃できます。

鎌倉時代の人達と同じ場所で、同じ空間の中で、同じ仏さまをまったく同じ方法で拝むことができます。

ちなみにこの浄土堂に強い影響を受けた建築家の安藤忠雄さんは、1991年に淡路島の本福寺本堂の設計で同じ手法を取り入れて建築しています。

西側の浄土堂に対して、池を挟んだ東側には薬師堂が向き合う形で建てられています。浄土堂は建久5年(1194年)の建立、薬師堂は室町時代に焼失して再建されていますが、もともと建久8年(1197年)の建立なので、ほぼ同時期に建てられた同格の建物です。ご本尊は薬師如来です。

これは浄土堂の阿弥陀如来が住むという西方極楽浄土と、それに対応して薬師如来が住むという東方浄瑠璃浄土を表すものかと思います。つまり、浄土寺というお寺の境内そのものがひとつの仏教的な宇宙になっているともいえます。薬師堂は内部公開していませんが、国の重要文化財です。

また、境内には八幡神社があり、その本殿と拝殿がともに国の重要文化財です。本殿はヒノキの樹皮を使った桧皮葺き(ひわだぶき)屋根です。

浄土堂の横の袴型鐘楼堂も桧皮葺屋根、兵庫県指定有形文化財です。春の桜に囲まれて機嫌が良さそうでした。

◆国宝・真言宗 浄土寺
住所:〒675-1317 兵庫県小野市浄谷町2094
電話番号:歓喜院|0794-62-4318・宝持院|0794-62-2651 ※電話は塔頭へ
拝観時間:9:00〜12:00 / 13:00~17:00(ただし10月〜3月は16:00まで、12月31日・1月1日は堂内拝観できません)
拝観料:500円(30名以上の団体は1名様450円)
公式サイト:https://ono-navi.jp/spot/463/

 

明石市をぶらり

 

明石城~国指定重要文化財・国指定史跡

明石城は、今から400年前の1619年(元和5年)に、初代明石藩主小笠原忠政が徳川幕府2代将軍秀忠から命じられ築城されました。1619年といえば大坂の陣からまもなく、江戸時代の初期です。

本丸跡に建つ巽櫓(たつみやぐら)・坤櫓(ひつじさるやぐら)は日本に12基しか現存していない三重櫓のうちのふたつで、国の重要文化財に指定されています。さらに2004年(平成16年)には城跡(明石公園の一部)が国の史跡に指定されました。

明石はおよそ400年前の江戸時代には美しい城を持つ小さな城下町として知られました。現在も明石駅のすぐ前にあり、海岸からも近い立地になりますが、当時は目の前が瀬戸内海でした。今でもお堀の幅は広く、水量も豊かで澄んでいます。

徳川幕府がこの明石海峡を望む町にこれだけの城郭を造営し、小笠原氏という譜代大名を置いた理由は、やはり防衛戦略としか考えられません。これよりやや西に位置する姫路城の二重目の砦として、長州の毛利や薩摩の島津を食い止めるためです。

山陽道でまず姫路城の池田輝政が迎撃し、さらに明石城で食い止める、2重防衛とすれば、その間に彦根や名古屋で迎撃準備が進められます。現在も面影を残す明石城下の西国街道は狭く、少し押し出せば敵方を海峡へ突き落とすこともできます。万が一姫路を突破されても明石で相当程度の防衛、進軍を遅らせることができるのです。

現在は明石市民憩いの公園になっています。

◆明石城
住所:〒673-0847 兵庫県明石市明石公園1-27
公園内は散策自由
両櫓は特定日のみ一般公開
※一般公開の詳細は、(一社)明石観光協会ホームページをご確認ください。
公式サイト:https://www.akashijo.jp/index.html

 

月照寺・明石天文台

明石城から歩いて10分のところに、丘の上の静かなお寺があります。

月照寺は、今からおよそ1200年前に弘法大師空海によって、当初は現在の明石城本丸付近に創建されたと伝わります。江戸時代の初期、明石城築城に伴って現在地へ移転しました。

広くはない境内ですが、庭が美しく整備され雰囲気のあるお寺で、柿本人麻呂ゆかりのスポットです。

山門は、実は旧伏見城の遺構だと伝わります。豊臣秀吉が京都伏見に造営し、死後は徳川家康が政務を執った伏見城の遺構はさほど多く残ってはいません。1610年に明石城に移築され、1873年に現在地に再移築されています。明石市の指定文化財とのことですが、国の重要文化財でもけっしておかしくはない建築物です。

山門からは、明石のシンボル、日本標準時子午線の天文台が目の前です。

月照寺には通常非公開の重要文化財、「桜町天皇宸翰(しょうそく)及び一座短籍」がありますが、2023年7月2日まで、明石市立文化博物館で展示されます。通常60年に1度の開扉となる月照寺の秘仏で人麿(ひとまろ)念持仏といわれる「海上波切船乗十一面観世音菩薩」なども展示されるとのことです。

◆人麿山 月照寺
住所:〒673-0877 兵庫県明石市人丸町1-29
境内散策自由
公式サイト:http://www.hitomarusan-gesshoji.jp/wp/

 

魚の棚商店街~明石の台所で食べ歩き

明石駅から南へすぐの通りが、魚の棚商店街です。約400年前に明石城の築城とともに誕生したといわれます。全長350mのアーケードに約110店の店舗が建ち並んでいます。

明石鯛から明石タコ、明石海峡付近で獲れた新鮮な海鮮が並んでいます。好きなものを食べ歩いてみては。

明石焼きや鯛茶漬けで有名な名店も。

◆明石 魚の棚商店街
住所:〒673-0892 兵庫県明石市本町1丁目1-16
公式サイト:https://www.uonotana.or.jp/index.html

 

車以外で行ってみる~淡路ジェノバライン

本州と淡路島とを行き来するのは車で明石海峡大橋を渡るのが一般的ですが、もちろんそれは30年近く前に橋が出来てからのことです。

それまでは船で渡るしかありませんでした。播淡汽船(ばんたんきせん)はそのうちのひとつでした。現在も「淡路ジェノバライン」と名前を変えて続いています。

魚の棚商店街のすぐ南、明石港です。淡路島の岩屋港との間を13分で結んでいます。もちろん車のほうが便利で速いのですが、たまにはゆっくり船で移動というのも海峡を身近に感じられて新鮮です。

◆株式会社 淡路ジェノバライン
住所:〒656-2401 兵庫県淡路市岩屋925-27
電話番号:0799-72-0181
公式サイト:http://www.jenova-line.co.jp/

 

舞子公園をぶらり

 

圧巻の巨大建造物~改めて見る明石大橋

1998年に開通した明石海峡大橋の周りは兵庫県立舞子公園になっています。橋に関する展示が見学できる「橋の科学館」や実際の明石大橋の上に展望台とカフェもある「海上プロムナード」などの施設もあり、海を横目に広い公園を散策するのも気持ちいいものです。海岸から離れると松林が続き、夏でも涼しくお散歩できます。

対岸の淡路島まではおよそ4キロあり、改めて見るとすごい迫力です。何度か橋を車で往復することはあっても、意外と下から見上げたことはない人も多いのでは。

◆兵庫県立舞子公園
住所:〒655-0047 兵庫県神戸市垂水区東舞子町2051番地
電話番号:078-785-5090
公園内は出入り自由
※各施設の利用はホームページで確認してください。
公式サイト:https://hyogo-maikopark.jp/

 

国の登録有形文化財 旧木下家住宅

国の登録有形文化財、旧木下家住宅を含む舞子公園は、住所的には神戸市に入ります。

旧木下家住宅は、昭和16年に竣工し、築80年を超える数寄屋造近代和風住宅です。門構えから前庭と中庭の作庭など、大正期の屋敷構えをほぼ完全に残す貴重な建物です。

◆旧木下家住宅
住所:〒655-0047 兵庫県神戸市垂水区東舞子町11-58
開館時間:10:00~17:00【最終入館は閉館30分前まで】
休館日:月曜日 ※但し、祝日の場合は開館し、火曜日が休館日となります。
入館料:100円
公式サイト:https://hyogo-maikopark.jp/facility/f02/#ad-image-0

 

国宝建築と仏像の鶴林寺~西の法隆寺

加古川市の鶴林寺は、加古川駅から南へおよそ1.5キロ、鶴林公園の中心です。鶴林寺がいつ創建されたかははっきりしていませんが、聖徳太子による建立と伝わるところから、およそ1500年ほど前、飛鳥時代と推測できます。

門から入場して正面が、国宝に指定されている本堂です。室町時代の応永4年(1397)に建立された、和様と中国伝来の唐様・天竺様との折衷建築の代表例です。

入母屋に本瓦葺き、屋根の真ん中で瓦の色合いが変わっているのは、向かって右側が古い時代のものを残しているからです。文化財の改修工事ではすべてを取り替えてしまうのではなく、多少効率が悪くなっても状態の良いものをなるべく残しつつ保存していく方法が取られます。

近くに建つ太子堂も国宝、平安時代の建築で桧皮葺きです。そのほかにも境内には複数の重要文化財の建物、宝物館にも多くの指定仏像や絵巻物が展示されています。

境内の中でも目立ち、加古川のランドマークともいえるのは、兵庫県指定文化財の三重塔です。室町時代の創建ですが、江戸時代に大修理が行われています。その後も放火で一部損傷しましたが、1980年(昭和55年)の解体復元修理でよみがえっています。損傷修理がなければ国指定でもおかしくないほど立派な塔建築です。

国の重要文化財に指定されているいくつかの仏像の中でも有名なのは、金銅聖観音立像です。微かな微笑みをたたえた「アルカイック・スマイル」は、京都・広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像や奈良・中宮寺の伝如意輪観音菩薩像と共通する雰囲気があり、やや腰をひねってすらっとした手足でありながらお顔の割合がやや大きめに作られており、美しさと可愛らしさが同居しています。

この観音様は別名「あいたた観音」像とも呼ばれます。昔、この像を盗み出した輩が、加熱しても溶けず、観音様の腰のあたりを木槌で打ち壊そうとすると「あいたた」と観音様が悲鳴を上げたといいます。驚いた輩は像を戻して改心したという伝説があり、その逸話から「あいたた観音」と呼ばれています。

◆鶴林寺
住所:〒675-0031 兵庫県加古川市加古川町北在家424
電話番号:079-454-7053
年中無休
開館時間:9:00~17:00【最終入館は閉館30分前まで】
公式サイト:https://www.kakurinji.or.jp/

 

まとめ

GFC淡路島グランデシアから明石海峡大橋を渡り、主に西側エリアの国宝や文化財、見どころをまわってみました。車なら明石周辺は1時間かからずに行けるほどで、いちばん遠い小野市の浄土寺でも1時間あまりで行けます。

建築物や仏像の文化財は国宝や県指定などのランクに関わらず、いいなと思えるもの、何かしらパワーを感じるものが自分にとっての文化財だ、という感覚を大事にしたいなと思っています。神社(神さま)でもお寺(仏さま)でも、人間と同じで相性があると思います。神社ならなんとなくいい雰囲気で落ち着く、と思えれば自分と相性が良いので、何度も訪れてしまいます。

相性の良いパワースポットを探しに、ぜひGFC淡路島からお出かけしてみてください。

この記事を書いた人
かのまお
放浪ライター。年の半分は福井や滋賀など関西~北陸を中心に放浪しています。尊敬する人は山下清。小説も出版してます。

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